レギーナには、ドイツでの記憶が断片でしかない。ホテル経営者の祖父、弁護士の父、やさしく美しい母・・・。家族に囲まれて過ごした暖かで幸福な生活。だがそんな幸せな生活もナチスの台頭によってもろくも崩れ去ってしまう。幼いレギーナが理由を尋ねると、母はいつもこう答えた――「私たちがユダヤ人だから」。遂にレギーナたちはドイツをはなれ、未知の国、アフリカへ渡る――。