アキ・カウリスマキ特集
Aki Kaurismäki


街のあかり

上映予定 8月10日(金)~8月19日(日) 1日3回上映 11:00~12:30 13:00~14:30 17:00~18:30

『浮き雲』『過去のない男』に続くアキ・カウリスマキ敗者三部作完結篇!

フィンランドのヘルシンキに、ひとりの男が静かに生きて いた。友人はいなかった。愛する人もいなかった。見守る家族もいなかった。文字どおりひとりぼっちの世界を生きていた。海辺でソーセージ屋を営む女だけが 彼を見つめていたのに、その店のあかりは彼の眼には入らなかった。
街の片隅でたったひとり生きる男の、孤独な、しかしつつましやかに夢を見ながら生きる世界に、ダリアのような猛毒が注がれる。その結果たどりついた場所は、あかりのまったく灯らない、冷え冷えとした世界だった。しかし一度信じ愛したものに対して、彼が裏切ることは決してなかった。やがて訪れる無垢なる愛。その愛が街を静かに灯していく様は、人が人間性を回復していくような、奇跡的な美しさだった…。チャップリンの『街の灯』のごとく、人間の誠実さを丁寧に追いかけた傑作がフィンランドから誕生しました。北欧のゆるやかな空気感のなかに宿る、生きていくことの喜びが灯す微かなあかり。そのあかりのもとでは、清らかで美しい涙が流されることでしょう。

2006年/フィンランド/78分/35mm/ドルビーデジタル/アメリカンヴィスタ
監督・脚本:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン/録音:ヨウコ・ルンメ、テロ・マルンベリ/衣装:オウティ・ハルユパタナ/美術:マルック・ペティレ/照明:オリ・ヴァリア/助監督・メイク:ナジャ・デルコス
製作会社:スプートニク
共同製作:パンドラ・フィルム、ピラミッド・プロダクション

パラダイスの夕暮れ

上映予定 8月10日(金)15:00~16:20 8月12日(日)19:00~20:20

<労働者3部作>の第1作目。マッティ・ペロンパー、カティ・オウティネンという、アキ映画を支えることになる二人が初めて主役を演じた、悲哀に満ちた恋 の物語。ゴミ収集人のニカンデルは年置いた同僚の死に直面し、スーパーのレジ係、イロナをデートに誘うが失敗してしまう。一方イロナは理由もなく突然職場 をクビになり、会社の金を持ち逃げしてしまった…。現実の厳しさに洗われ、ぎくしゃくと進展する恋の行方を、シンプルな描写で見つめていく初期の傑作。ヘ ルシンキの街の朝の光や、夜のアパートの一室を捉える見事な撮影、挿入音楽の歌詞が醸し出す情感が、深い余韻を残す。カンヌ国際映画監督週間・東京国際映 画祭出品。

1986年/フィンランド/カラー/35mm/75分
製作:ミカ・カウリスマキ/脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー、カティ・オウティネン、サカリ・クオスマネン、エスコ・ニッカリ

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ

上映予定 8月10日(金)19:00~20:25 8月12日(日)15:00~16:25

極寒のツンドラ地帯で活動する、恐ろしく長いリーゼント、サングラス、つま先の尖ったブーツでキメた「売れないバンド」レニングラード・カウボーイズ。彼 らはプロモーターの勧めで仕事を求め、屋外で凍死したメンバーを棺桶ごと引き連れて、一路ニューヨークへと向かう。だが、オーディションでポルカの演奏を 聴いた男は、「メキシコへ行け」と彼らに告げた…。実在のバンド「スリーピー・スリーパーズ」はこの映画をきっかけに「レニングラード・カウボーイズ」と 改名した。楽曲の面白さ、散りばめられた笑いも見どころの、可笑しくも悲しいロード・ムービー。

1989年/フィンランド+スウェーデン/カラー/35mm/79分
脚本:サッケ・ヤルヴェンパー、アキ・カウリスマキ、マト・ヴァルトネン/撮影:ティモ・サルミネン
出演:マッティ・ペロンパー、カリ・ヴァーナネン、サッケ・ヤルヴェンパー、サカリ・クオスマネン、ジム・ジャームッシュ

コントラクト・キラー

上映予定 8月11日(土)15:00~16:25 8月13日(月)19:00~20:25

ジャン=ピエール・レオーを主役に迎えたアキが、「イーリング・コメディ」のスタイルを取り入れつつ、スタジオではなくロンドン・ロケに挑んだ作品。フラ ンスに居場所をなくし、ロンドンの水道局で働くアンリは、ある日突然解雇を言い渡され、絶望して自殺を図るが失敗してしまう。新聞記事で「契約殺人」(コ ントラクト・キラー)の存在を知った彼は、自らの殺しを依頼。だがその直後、花売り娘マーガレットと初めての恋に落ち、アンリは殺し屋から逃げ続けるハメ になる。アキが生涯のベストに挙げる『肉体の冠』(ジャック・ベッケル監督)のセルジュ・レジアニも出演するなど、過去の映画への敬意と愛情が満ち溢れて いる。ヴェネチア国際映画祭出品。

1990年/フィンランド+イギリス+ドイツ+スウェーデン/カラー/35mm/80分
製作・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:ジャン=ピエール・レオー、マージ・クラーク、ケネス・コリー、セルジュ・レジアニ、ジョー・ストラマー

マッチ工場の少女

上映予定 8月11日(土)19:00~20:15 8月13日(月)15:00~16:15

カティ・オウティネン演じるサエない少女が主人公の<労働者3部作>の最終章。マッチ工場に勤め、母とその愛人を養うイリスは、身なりも地味でダンス・ パーティーで踊りの声も掛からない。意を決して給料日にドレスを買うも、母の愛人には「売春婦」となじられ、そのドレスで出かけたディスコで男と出会って 幸せを手に入れたのも束の間、遊びだったと告げられる。台詞をほとんど用いず、画面の連鎖でイリスの不幸な境遇を浮かび上がらせる演出は、<敗者3部作> の3作目である最新作『街のあかり』に受け継がれている。洗練と毒の極まった代表作の1本。ベルリン国際映画祭出品。

1990年/フィンランド+スウェーデン/カラー/35mm/70分
脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン、エリナ・サロ、エスコ・ニッカリ、ヴェサ・ヴィエリッコ、シル・セッパラ、レイヨ・タイパレ

浮き雲

上映予定 8月14日(火)15:00~16:40 8月15日(水)19:00~20:40

『過去のない男』そして『街のあかり』へと続く<敗者3部作>の第1作。フィンランドの失業の深刻化を受け止め、「映画にできることは希望を与えること」 と、物語を「ハッピーエンドで締めくくることを考えた」アキ。これまでの作風にますます磨きを掛け、より深い人間的な温かみを刻み込んでいる。ヘルシンキ の名門レストランの給士長イロナと、路面電車の運転手ラウリは仲のよい夫婦。慎ましい生活を送っていた2人だが、ラウリはリストラ、イロナは閉店で時を前 後して失業してしまう。それぞれ見つかった職も上手くいかず災難が続く中、イロナは意を決し夫と新しいレストランをオープンする計画を立てる…。カンヌ国 際映画祭コンペティション部門正式出品。

1996年/フィンランド/カラー/35mm/96分
製作・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネン、エリナ・サロ

過去のない男

上映予定 8月14日(火)19:00~20:40 8月15日(水)15:00~16:40

ヘルシンキに流れ着いたひとりの男。しかし彼は暴漢に襲われ瀕死の重傷を負い、一命をとりとめるも、過去のすべての記憶を失ってしまう。過去を失った男は 絶望の淵でささやかな人生をひとコマずつ重ねていく中で、イルマという女性と出会う。それは男にとっては初めての、あたたかで満ち足りた思いとなって、人 生をやわらかく包み込むのだった…。<敗者3部作>第2作である本作は、ミニマルかつ叙情的、ユーモラスで牧歌的でありながらも人生の苦渋を浮かび上がら せカンヌ国際映画祭でグランプリと主演女優賞を見事ダブル受賞。日本でも大ヒットしたカウリスマキの代表作。

2002年/フィンランド/カラー/35mm/97分
製作・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン、ユハニ・ニエミラ、アンニッキ・タハティ、タハティ

ハムレット・ゴーズ・ビジネス

上映予定 8月16日(木)15:00~16:30 8月18日(土)19:00~20:30

長篇4作目、今度はシェークスピアの悲劇「ハムレット」に挑んだアキは、陰謀、毒殺、父の亡霊、オフェリアの水死といった骨子を残しながら、舞台を現代に ハムレットを王子ではなく製材所・造船所をもつ社長の息子に仕立て上げる。重役のクラウスは社長夫人ガートルードと結婚、反発するハムレットをよそに、自 らの私欲のため造船所を売り飛ばすと言い出す…。緊張感に満ちたモノクロ画面の中、ラストには原作にはない驚くべき結末が用意され、人間の計り知れない暗 部が口を開ける。

1987年/フィンランド/モノクロ/35mm/86分
製作・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:ピルッカ=ペッカ・ペテリウス、カティ・オウティネン、エリナ・サロ

白い花びら

上映予定 8月17日(金)15:00~16:20 8月19日(日)19:00~20:20

フィンランドの国民的作家ユハニ・アホの同名小説で、北欧では過去3度も映画化されている名作に、音楽付きサイレントの形で挑み撮り上げた冒険作。農業と 牧畜を営み、仲睦まじく暮らすユハとマルヤの夫婦。人の良いユハは、都会からの移動中に故障で車を止めたシェイメッカの修理を引き受ける。だがシェイメッ カはユハと年の離れたマルヤに目をつけ、ユハを捨てて都会へ出ないかと誘いかけた…。古典的な三角関係のメロドラマを、サイレントの持つ効果とモノクロの 画面でさらに寓話的な印象に包みながら、人間の弱さと許しを見つめ、その悲劇性を鮮やかに浮き彫りにする。ベルリン国際映画祭フォーラム部門出品。

1999年/フィンランド/モノクロ/音楽付きサイレント/35mm/78分
製作・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン/音楽:アンシ・ティカンマキ
出演:サカリ・クオスマネン、カティ・オウティネン、アンドレ・ウィルムス、エリナ・サロ

罪と罰

上映予定 8月16日(木)19:00~20:35 8月18日(土)15:00~16:35

ヒッチコックが著作『映画術』の中で「ドフトエフスキーの小説の映画化は、絶対にやることはない」と書いたのに触発され、「それならオレがやる」と名作「罪と罰」に挑んだア キ・カウリスマキの野心漲る驚異の長篇デビュー作。食肉解体工場に勤める青年ライヒカイネンが、恋人をひき逃げした男を射殺した。現場で目撃していたケー タリング業者のエヴァは警察での証言を偽り、二人の間に次第に奇妙な共犯関係が生まれていく。ヘルシンキに場所を置き換え、ヒッチコックが「ひとことも削 除できない」と言った原作の核心を大胆にすくいとって、殺人者ラスコーリニコフ=ライヒカイネンの葛藤を、台詞を抑え、画面と描写の力で描き出す。

1983年/フィンランド/カラー/35mm/93分
製作:ミカ・カウリスマキ/脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン
出演:マルック・トイッカ、アイノ・セイッポ、エスコ・ニッカリ、マッティ・ペロンパー

カラマリ・ユニオン

上映予定 8月17日(金)19:00~20:25 8月19日(日)15:00~16:25

「イカ墨同盟」(カラマリ・ユニオン)の15人の仲間たちが町を出て、町の反対側にあるという希望の地、エイラへと向かおうと決起する。15人の名がすべ てフランクだったり、深夜に無人の地下鉄を強奪して駅に着いたとたん、1人が車掌に殺されたりと、謎だらけのまま事態は唐突に展開する。遊び心とユーモ ア、毒気が交じり合い、かなり人を食ったこの第2作では、デビュー作とはまた違ったもう一つのアキの側面「真面目な顔で冗談を言う」資質が存分に発揮され ている。なお、後のレニングラード・カウボーイズのメンバー、サッケ、マト、サカリもフランクとして登場し、劇中ではその演奏も披露している。

1985年/フィンランド/モノクロ/35mm/80分 
製作・脚本:アキ・カウリスマキ/撮影:ティモ・サルミネン 
出演:マッティ・ペロンパー、プンティ・ヴァルトネン、サッケ・ヤルヴェンパー

上映時間に数分の誤差が出る場合もございます。ご了承下さい。

2007/6/22